購入前に知っておきたい!定期借地権付きマンションとは?

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購入前に知っておきたい!定期借地権付きマンションとは?

分譲マンションを探していると、「定期借地権付き」という物件を見かけることがあります。
定期借地権付きマンションは、普通の分譲マンションよりも価格が低く設定されていることが多いですが、購入前に注意すべきポイントがあります。
この記事では、普通の分譲マンションと定期借地権付きマンションの違い、メリット・デメリット、どのような方に向いているのかについて解説します。

定期借地権付きマンションとは?

定期借地権付きマンションとは?

定期借地権について理解する前に、普通の分譲マンションと借地権付きマンションの違いを確認しましょう。

普通の分譲マンションと借地権付きマンションの違い

普通の分譲マンションを購入する際は、部屋(建物部分)を購入するイメージがありますが、実際には部屋とともに土地の利用権も取得しています。
土地と建物が明確に分かれている一戸建てとは異なり、マンションの購入には「区分所有権」(部屋の権利)、「共有持ち分権」(共用部分の権利)、そして「敷地権」(土地の利用権)の3種類の権利が含まれます。
対して、定期借地権付きマンションでは、土地を購入するのではなく、土地を借りる権利を得ることが特徴です。
つまり、両者の主な違いは「土地を買うか借りるか」にあります。
また、定期借地権付きマンションは流通が少ないのも特徴です。
2021年の国土交通省のデータによると、分譲マンションの新規供給戸数は10万7,000戸でしたが、定期借地権付きマンションはわずか100戸で、全体の0.1%以下です。
これは非常に特殊な契約形態であることを示しています。

定期借地権と普通借地権の違い

借地権とは、建物を建てるために土地を借りる権利を指します。
借地権は、1992年に制定された「借地借家法」に基づき、「旧法借地権」と「新法借地権」に分類されます。
新法借地権には、さらに「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。
普通借地権とは
普通借地権は、定期借地権以外の一般的な借地権です。
借地契約の期間は最低30年以上とされており、借主が希望すれば契約更新が可能です。
つまり、正当な理由がない限り、貸主は契約の更新を拒否できません。
このため、長期間にわたり土地を借り続けられるという点で、借主に有利な権利です。
定期借地権とは
定期借地権は契約期間が最初から定められており、更新がおこなわれないのが特徴です。
普通借地権のように契約の更新が前提とされておらず、契約終了時には建物を取り壊して更地にしてから土地を返還する必要があります。
これにより、貸主にとっては有利な権利となりますが、借主にとっては不安定な面もあります。
定期借地権には、一般的に50年以上の契約期間が設定されることが多いですが、これは普通借地権の最低契約期間である30年よりも長いです。
例えば、契約期間が60年で解体期間が2年のマンションでは、新築で購入すれば実質的に58年間住むことができます。
最近では、マンションの耐久性が向上し、60年から70年程度の長期間の契約期間の利用ニーズが強くなっています。

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定期借地権付きマンションを購入するメリット・デメリット

定期借地権付きマンションを購入するメリット・デメリット

定期借地権付きマンションは、流通量が少なく、土地を借りる期間に制限があるという特徴があります。
では、普通の分譲マンションと比較して、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

定期借地権付きマンションのメリット

メリット①物件価格が安い
定期借地権付きマンションは、土地を購入せずに借りるため、物件価格が普通の分譲マンションよりも低く抑えられます。
土地の権利を購入しない分、相場の約80%程度に価格を抑えられることがあります。
メリット②固定資産税や都市計画税の軽減
土地を借りるため、土地にかかる固定資産税や都市計画税を支払う必要がありません。
ただし、建物に対しては固定資産税や都市計画税が発生します。
これにより、税負担を軽減できるのがメリットです。
メリット③好立地の物件が見つかる可能性
定期借地権付きマンションは、地主が土地を売却したくない場合に貸し出されるため、人気エリアでの物件が見つかる可能性があります。
契約期間が限定されるものの、通常購入が難しいエリアでも相場より安価に購入できることがあります。

定期借地権付きマンションのデメリット

デメリット①契約終了後の土地返還
定期借地権付きマンションは契約期間終了後に土地を更地にして返還する必要があります。
そのため、建物は取り壊さなければならず、新たな住まいを探す必要があります。
財産として長期間保有することや、子どもへの資産として残すことは難しいです。
デメリット②追加の費用負担
借地権付きの物件では、毎月地代を支払う必要があります。
また、土地返却時には建物を解体するための費用も積み立てておく必要があります。
管理費や修繕積立金は、普通の分譲マンションと同様に発生しますが、地代や解体費用といった追加のコストがかかることが多いです。
トータルコストをしっかりと比較することが重要です。
デメリット③売却の難しさ
借地権の残り期間が短くなると、次の買い手を見つけるのが難しくなります。
例えば、借地権が50年で築15年の時点で売却すると、次の買い手は残り35年間住むことができます。
築40年で売却する場合は、残りの借地権の期間が10年となり、買い手は残りの期間だけ住むことになります。
また、建物の解体が必要になることもあります。
デメリット④住宅ローン審査の厳しさ
土地を所有する場合と比べて、借地権付き物件は土地の担保価値が低く評価されるため、住宅ローンの審査が厳しくなる可能性があります。
具体的な条件は金融機関によって異なるため、事前に確認することが望ましいです。
デメリット⑤住宅ローン控除の対象外
住宅ローン控除は、年末のローン残高が多いほど控除額が大きくなりますが、定期借地権付きマンションで土地の賃料を前払いした場合、その費用は控除の対象外です。
土地に関連する費用が住宅ローン控除の対象になるかは税制によって異なるため、具体的な取り扱いについては税務署や専門家に確認するのが望ましいです。

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定期借地権付きマンションの購入が向いているタイプは?

定期借地権付きマンションの購入が向いているタイプは?

定期借地権付きマンションは、普通の分譲マンションとは異なる特徴があり、購入を検討する際にはそのメリットとデメリットをしっかりと把握することが重要です。
以下のようなタイプの方にはとくに向いている物件だといえます。

利用価値を重視する方に向いている

現在、マンション価格が上昇しているため、同じ予算でより広いスペースを確保したい場合には、定期借地権付きマンションが有利な選択肢となります。
これらの物件は好立地に多く、購入費用を抑えながらも良い立地や広いスペースを手に入れることができます。
予算内で、家族のライフスタイルに合った立地や広さのマンションを探しましょう。
資金計画に余裕を持たせることで、理想の暮らしを実現しやすくなります。

子どもへの相続を考えていない方に向いている

定期借地権付きマンションは、相続を考えない方にとって有効な選択肢です。
子どもがいない方や、仮に子どもがいても相続させるつもりがない場合、将来的な物件の取り扱いについて心配する必要がありません。
契約終了時に土地を返却するため、将来の物件の管理や相続問題を気にすることがないため、こうした方には向いています。

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まとめ

定期借地権付きマンションとは、土地を購入せずに借りる形態で、価格が低く抑えられるのが特徴です。
メリットとしては物件価格の安さや税負担の軽減があり、好立地の物件が見つかる可能性があります。
一方、契約終了後には建物を取り壊して土地を返還する必要があるなどのデメリットもありますが、利用価値を重視する方や相続を考えていない方には向いています。


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